貨幣のない古代から3つの過渡期を経て現代のファクタリングへと変化しました。

古典的ファクタリング

19世紀後半を起源にした契約を伴う売掛債権を買取する現代的ファクタリング以前を古典的ファクタリングにした場合、紀元前2000~3000年の古代メソポタミア文明から、産業革命後の18世紀まで約5,000年近い歴史があります。
当然、時代とともに古典的ファクタリングの形も変わってきます。
貨幣のなかった時代貨幣を伴うファクタリングが普及した当初18世紀後半の3つのカテゴリーに分けて古典的ファクタリングの形を解説していきます。

 

 

貨幣のなかった古代のファクタリング

 

穀物の実る農場

 

貨幣が一般の商人や農民に普及する前の時代は、国に仕える仕事をした場合に穀物などで対価を得ていました。
王朝が幅広い商人などを一括管理することによる管理的問題と、対価として支払う穀物が収穫期に一気に入ってくる貨幣がない時代ならではの理由で、後払いが存在していました。

 

古代のファクタリングは将来入ってくる収入(仕事をした対価の穀物)を渡す約束で、今必要な穀物や日用品を受け取る交換条件によるものでした。
貨幣がない時代は貸付や借金という概念もなく、消費者金融や銀行の起源も古代メソポタミア文明だと表現する動きもあります。

 

現在で見れば銀行法や貸金業法に基づく融資や貸付とファクタリングは異なる事業として扱われていますが、当時は法整備やお金の概念すらなかったため、貸付とファクタリングの境が曖昧でした。
ファクタリングを提供する側も専門の商人だけではなく同じ立場の平民のケースもあり、決められたルールはなくお互いの交渉次第で条件が決まり、信用の中で貸付や返済が行われていました。

 

当時は3社間ファクタリングのように、元請の同意を取るケースは少なく、2社間ファクタリングに近い形で行われていました。

 

 

貨幣を伴うファクタリング=保証付き

 

14世紀ヨーロッパを代表する建築物

貨幣が流通してから最初にファクタリングが行われたといわれるのが1300年代のイギリスです。
それ以前も貸付に近い形のビジネスモデルはありましたが、貨幣が登場してからはファクタリングよりも貸付(借金)の要素が強まっていきます。

 

現代のファクタリング償還請求権なしのノンリコースと、償還請求権ありのリコースの2種類があり、売掛先の倒産などで支払われない場合に弁済責任を負う償還請求権ありのファクタリング契約も一部で存在します。
貨幣があるけど売掛債権や契約の概念がなかった時代は、将来入ってくる収入を理由にお金を借りたり、食料品を前借りしたりするのは貸付として扱われていました。

 

当時のファクタリングの定義は償還請求権なしのノンリコースに限定され、貸付による資金調達だけではなく買い手が支払いをしなかった場合でも弁済義務のない保証が付いたことで貸付と差別化していました。
イギリスをはじめヨーロッパは貿易が盛んになるに連れて支払いトラブルが増加し、買い手の支払いを保証するサービスの需要が高まっていきます。

 

 

18世紀後半のファクタリング

 

産業革命の様子

ノンリコース中心でファクタリングする形は、1300年代の中世から大きな変化はありません。
契約を伴わない時代の末期による18世紀後半のファクタリングは、産業革命によって業務量が増えて、多くの事業主と付き合うクライアントから人気を集めました。

 

複数の取引先を持つと支払いによるトラブルが多く、当時は完全に資金調達ではなく支払い保証を得るためにファクタリングが活用されていました。
契約という概念がなく、信用で将来入ってくる収入を前払いする形なので、18世紀後半は信用力が高いクライアントだけが利用できて、支払いトラブルが多い分だけ高額な手数料を取っていました。

 

参考記事:現代ファクタリングの起源